宝石の国を一気読みしました。

2023/03/02

漫画

t f B! P L
100話公開記念で99話まで無料公開という超太っ腹サービスを展開してくれた、宝石の国。
実は前回の大規模無料公開の時に見れるところまで読んでいたので、今回その続きから読んでみました。
そしてさらに次の1日で、単行本バージョンを1巻から12巻まで一気読みしちゃいました。
やっぱり私は最低でも2周読まないとダメみたいですね。お話を一度で読み取れない。
2周目を一気に読んだことで、この感情を書き残しておきたくなっちゃいました。
もう無料公開は終わってしまいましたが、せっかくだから置いておきます。
というわけで、ネタバレ込みの感想です。

まだ完結ではないはずなのに、物語の読後感がすごく良かったんです。
前回は最終決戦開始!で途切れてしまったのですごくモヤモヤしちゃったのですが、今回はとても心がすっきりしたような気持ち。
と書くと、すごくフォスに対して情がなさすぎるような気もするんですが、これが正直なところ。
でも、あの岩石さんがいてくれてよかった。そして岩石さんがいなかったらこんな気持ちにはなれなかった。
フォスも自分自身を見返すきっかけになって。それに気付くまでに時間がかかりすぎたけれど……。
あとは、ユークにエクメアと金剛が言った、フォスを救う方法について。たぶんそれがこれからのお話になるのかな。もう誰もいないけど……。

宝石の国という物語、前評判で救いがなさすぎる、絶望の権化、推しを作ってはいけないなんて散々聞いてきてたので、一体どんなもんだと構えていたのですが。
私は思ったよりは、そういうただただしんどいような感情ではなく、どちらかというと同情とか、納得というか、わかるよそうだよねって背中をさすっているような、そんな気持ちで読んでいました。軽率に手足や首が吹っ飛ぶのはワートリでかなり耐性ができてたってのはあるかもしれないです。
一気読みしたからショックが少なく済んだってのはあると思います。細切れで更新を待っているような状態だと思い入れの強くなるキャラはどうしても出るだろうし。カンゴームのかわりようにショックを受ける人が続出したというのも、気持ちはとてもわかります。
私は完全に、自分を取り戻せて良かったねという気持ちでした。施術を受ける場から逃げ出そうとするゴーストと、それを体が割れるほど抵抗したカンゴームの表現の痛々しさにすごくぞっとして。まさに呪い。あそこから抜け出すことができて本当によかった。
ゴーストが不憫ではあるけど、だからって乗っ取っていいわけではないし。結局ゴーストは回収できたのかな?月人になれたのかな……。

死のない苦しみっていうのは想像が難しくて、しかも宝石の国は何百年何千年がぱっと過ぎるからその辛さの理解はこれっぽっちもできてないと思う。
けど、実際に宝石たちが悩んでいるのは、とても覚えのあることばかりで。
近い他人を比べてしまうとか、孤独が寂しいとか、誰からも愛されたいとか。
"そうじゃないから困る"とか。結局フォスどころかラピスも戻ってきてはないけど、それはそれとしてもそれを乗り越えて今を楽しめるところとか。
未熟を指してかわいいと言う使い回しとか。何度かあったよね。言葉のやりとりがなんというかとても自然で、すごくわかるーって感じがとても好きです。
物語の重さに反して、セリフは割とゆるめだなって印象なんですが、そのやわらかめの言葉に感情ががっつり乗ってる感じ。動きでわかる言外がものすごくたくさんある感じ。私はそんなにたくさんお話を読んでる方じゃないのですが、自分が読んできた中ではかなり珍しいタイプの表現だなぁって感じました。
それは悪いって意味じゃなく、私にはすごく読みやすかったんですよね。気持ちへの理解に壁を乗り越える必要がない感じというか。宝石という無機物なんだけど感情は普通ににんげんで、親近感がとてもわいたというか。ぶれない強烈な理念のあるような人間離れしたような性格よりも、流動的で状況によって気持ちも考えも変わるような、そういう価値観の方がなんとなく私にはスッと入ってきた感じがありました。

結局フォスはいいように誘導されて使われただけ、ということになってしまうのが、有り体に言えばかわいそうなのだけど、誰にも深くは感情移入せずに読んだ結果、物語の構造としてはとても美しかったなっていう感想になっちゃって。
たくさんの人間の平和のために、ごく少数を犠牲にした物語、と言えると思うんだけど、それなのにそう感じてしまう自分にちょっと悲しくなったり。
ものすごく心が揺さぶられ、いろんな感情が湧き上がってくるお話であることは間違い無いのですが、なんだろう、この読後感。
多分まだ完全には終わってないってことなんだろうと思います。
すっきりはしたんだけど、まだきっと何かあるはずっていう。ここからさらにどうやって本当の結末へ向かっていくのか、全く想像がつかないです。
108話で終わるんじゃない?なんてまことしやかに囁かれていますが、どうなるのやら。
連載を追うのは私にはちょっと心がしんどい気がするので、完結したときに読めたらいいなと思います。
Twitterで、宝石の国はいいぞツイと、宝石の国は一気読みするなツイが同時に流れてきて困惑するような状況でしたが、好奇心がうまいこと勝って、あの時読み始めて良かったなと思います。いい物語に出会えました。

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